VANSのチャッカブーツ

「無くなって困るモノってある?」
僕がカメラのフィルムを交換しているときに彼女が聞いてきた。
「困るモノ?」僕が聞き返すと「そう、困るモノよ」と彼女は言う。
ヘイト・アシュベリーから2ブロック離れたパーキングに僕たちは居た。
目の前ではプロのスケーター達がTシャツの色が変わるほど汗を流しながらトリックを決めている。
知り合ったばかりの中国系の青年が「あそこの段差を使ってフリップを決めるよ。いい写真になる
と思うぜ」とデイパックから乾いたTシャツを取り出す。着替えながら早く来いよと僕を急がせる。
僕はペットボトルの水を飲む。彼女は手にしているビデオカメラのレンズを拭いている。
「すぐには思いつかないかな」と僕が言うと、汚れた黒のコンバースの紐を結び直しながら
「私はアップルかな。果物の方じゃなくて、マッキントッシュのね」と彼女は笑って言った。
彼女は大学で映像を専攻していた。ゴールドと黒のグラデーションのヘアースタイルにブラック
ジーンズがよく似合っていた。そして街でよく見かけるティーンエージャーと同じく10代特有の
ややこしい問題も抱えていた。
「表現することが私の居場所なの。アップルはそのチャンスをくれたから」
そう答えた時の彼女の目はキラキラしていて、少し羨ましかった。
アップルが無くなったとしても、他のパソコンを使えば映像の編集もグラフィックも何でも出来る。
でも、すべてのモノが僕たちに可能性をあたえてくれるとは限らない。
「無くなって困るモノってある?」
大手シューズショップのレジでその質問をふと思い出した。
今、店員が手にしているスニーカーは10代の頃から履き続けている。
そして飽きもせずに次もまた僕はVANSを買うのだろう。
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Kewl you sohlud come up with that. Excellent!