VANSのチャッカブーツ

Published 2011.02.25 | Sketch

「無くなって困るモノってある?」
僕がカメラのフィルムを交換しているときに彼女が聞いてきた。
「困るモノ?」僕が聞き返すと「そう、困るモノよ」と彼女は言う。

ヘイト・アシュベリーから2ブロック離れたパーキングに僕たちは居た。
目の前ではプロのスケーター達がTシャツの色が変わるほど汗を流しながらトリックを決めている。
知り合ったばかりの中国系の青年が「あそこの段差を使ってフリップを決めるよ。いい写真になる
と思うぜ」とデイパックから乾いたTシャツを取り出す。着替えながら早く来いよと僕を急がせる。
僕はペットボトルの水を飲む。彼女は手にしているビデオカメラのレンズを拭いている。

「すぐには思いつかないかな」と僕が言うと、汚れた黒のコンバースの紐を結び直しながら
「私はアップルかな。果物の方じゃなくて、マッキントッシュのね」と彼女は笑って言った。

彼女は大学で映像を専攻していた。ゴールドと黒のグラデーションのヘアースタイルにブラック
ジーンズがよく似合っていた。そして街でよく見かけるティーンエージャーと同じく10代特有の
ややこしい問題も抱えていた。

「表現することが私の居場所なの。アップルはそのチャンスをくれたから」
そう答えた時の彼女の目はキラキラしていて、少し羨ましかった。
アップルが無くなったとしても、他のパソコンを使えば映像の編集もグラフィックも何でも出来る。
でも、すべてのモノが僕たちに可能性をあたえてくれるとは限らない。

「無くなって困るモノってある?」

大手シューズショップのレジでその質問をふと思い出した。
今、店員が手にしているスニーカーは10代の頃から履き続けている。
そして飽きもせずに次もまた僕はVANSを買うのだろう。

comment

Kewl you sohlud come up with that. Excellent!

Kayli ( 2011/04/24 2:06 PM )

Thanks!

Eiken Asai ( 2011/05/26 2:00 PM )

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